診療ノート

#27 ピロリ菌についての最近の知識

ピロリ菌とは
①ヘリコ・バクター・ピロリ菌
胃の幽門(ピロリ)付近にいるらせん状(ヘリコ)の細菌(バクター)
②胃以外では水・便・唾液・歯垢などから検出されています
③ウレアーゼにより尿素を分解してアンモニアを産生します
そのため胃内(酸性)で生存可能

ピロリ菌の感染経路
①経口感染(口-口、糞便-口)
②感染媒体は井戸水・おう吐物・箸・内視鏡・ハエなど
③幼児期までの感染が多い・母から子の頻度が多い
④除菌成功後の再感染はほとんど無い(0-2%)
⑤飲料水:日本では0% メキシコ69% イラク29%
⑥ピロリ菌抗体陽性率;乳幼児10%以下 60歳台約60%

ピロリ菌の検査法
①尿素呼気試験
②血清抗体
③鏡検法
④培養法など

ピロリ菌除菌の適応病名
①胃潰瘍・十二指腸潰瘍
②胃MALTリンパ腫
③特発性血小板紫斑病
④ピロリ菌感染胃炎(2013年2月より保健適応)

ピロリ菌除の治療を受けるには(対象患者)
①内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた場合
②内視鏡又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断
③胃MALTリンパ腫
④特発性血小板紫斑病
⑤早期胃がんに対する内視鏡的治療後

保健適応には上記の条件が必要です。
まず胃内視鏡検査(他施設を含む)を施行して頂き
検査後6か月以内にピロリ菌検査をして下さい。

ピロリ菌の除菌
①1次除菌成功率 68%~88%(ランサップ)
②薬剤耐性ピロリ菌の場合2次除菌を行います。
③下痢・軟便・湿疹・口内炎・味覚異常などの副作用あり
④除菌後も胃がんが発見される(除菌後も胃カメラ検査をお勧めします)

ピロリ菌を除菌すると
①消化性潰瘍の約70%がなくなる
②胃がんの約40%がなくなる
③ディスペプシアの症状の約10%はとれる

以上のメリット・保健適応がありますのでピロリ菌除菌をお勧めします。
かかりつけ医先生にご相談ください。

参考資料 「第39回人間ドック健診認定医・専門医研修会資料より」