#23 当院のオンラインHDF(血液濾過透析)について
当院では、2000年5月に透析室を開設し、皆様方のご協力のもと血液透析を行ってまいりました。よりよい透析医療を目指して、2012年8月1日透析室23床全床をオンラインHDFにリニューアルし、総数70名の患者様に当院透析室を利用していただいております。ここで、簡単にオンラインHDFについて説明させていただきます。ご存知のようにHD(血液透析)はダイアラーザーの透析膜の内側に血液、外側に透析液を流し、主として拡散、一部限外濾過にて、尿毒素や水分の除去、必要な電解質の補充を行うものです。
これに対して、HF(血液濾過)は大量の補液を行いながら、限外濾過を行い、同じ目的を達成するものです。HDの利点は比較的コンパクトな装置で施行することができ、特に小分子の除去に優れていることです。これに対し、HFの利点は小分子から中分子を同じように除去し、循環動態もHDに比べ安定していることですが、きわめて清潔な多量の補液を必要とし、多量の除水をおこなうため、HDにくらべコストがかかり、より複雑な透析器を使用するため高い技術レベルを要求されます。ちなみに、腎臓は濾過によって尿を作っており、HFはより腎臓の働きに近いとも言えます。HDとHFの二つの利点を兼ね備えたものがHDF(血液濾過透析)で、補液を行いながら、HDを行う形になります。
従来は、バックに入った補充液を使用(オフラインHDF)しておりましたが、コストが高いことや手間がかかることで、十分な補充液を使用することが困難でした。そこで、機械で補充液を作りながら、それをHDFに使用する技術が開発されオンラインHDFとなりました。2012年8月よりオンラインHDFがHDとは別に保険請求できるようになったこともあり、全国的に普及が進んでおります。ただし、オンラインHDFを施行する条件としては、厳重な透析液の水質管理をして、細菌やエンドトキシンを測定感度以下になるまで清浄化させなくてはなりません。
ガイドラインにのっとったチェックを行いながら、オンラインHDFを継続しておりますが、幸い、水質の悪化をきたすことなく、継続できております。オンラインHDFの目標の一つに、透析を長期続けると起こってくる合併症の透析アミロイドーシスの予防が挙げられます。透析アミロイド症とは、中分子の尿毒素の代表である分子量11,800のβ2-ミクログロブリンの蓄積により、手根管症候群、ばね指、破壊性脊椎関節症、さらに消化管、心筋障害などを起こすものと言われております。
これらを、予防または進行を軽減し透析患者さんのADL,QOLを含めた余後の改善を図っていけるように努力していきたいと思います。