#45 スキンケアと外用剤のつけ方について
色々な疾患でガイドラインが作成、改定されています。スキンケア:肌のお手入れは、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎をはじめ、尋常性ざ瘡(にきび)など、種々の疾患のガイドラインの根幹に位置付けられています。
今日の日本では冷暖房の普及により、以前の住宅・学校・職場よりも、室内が乾燥しています。スキンケアは、皮膚と髪にやさしい洗い方と、十分な保湿、紫外線対策が3本柱です。
合わせて主に皮膚科で処方される、外用剤のつけ方についても説明します。
1. 皮膚と髪の洗い方
皮膚の最外層の角層を保護するようにしましょう。角層は多くの皮膚疾患の発症予防の最前線の場所です。洗いすぎ・こすり洗いなどにより、角層がすかすかした状態になると、細菌(伝染性膿痂疹:とびひなどの原因)やウイルス(伝染性軟属腫:みずいぼ、尋常性疣贅:いぼなどの原因)、真菌(足白癬:みずむしなどの原因)などの感染症のみならず、アトピー性皮膚炎・皮脂欠乏性皮膚炎・接触皮膚炎(かぶれ)など皮膚炎、褥瘡(とこずれ)などがおこりやすくなってしまいます。
① 皮膚の洗い方:タオル・ガーゼ・スポンジ・アカスリ・軽石などは、角層に傷をつけてしまうので使わないでください。泡石鹸、ないし泡立てネットなどで石鹸を泡立て、泡を手にとり、なでるようにやさしく洗いましょう。ホイップクリームを皮膚に置くような感じです。液体か固形かなど、石鹸の種類はあまり問題になりません。背中に手が届かないなら、石鹸水をかけるだけでもよいです。ご高齢の方は皮脂も少なくなっているので、足・腋・陰部以外、石鹸は毎日使用しなくてもよいでしょう。
② 皮脂を落としすぎないよう、お湯の温度は40℃以下のぬるめがよいとされています。
③ 石鹸をすすぐ際には、強い水圧のシャワーは避けましょう。
④ 髪を洗う際にも、シャンプーは爪をたてず、やさしく洗いましょう。地肌と髪の保湿のため、コンディショナーないしリンス、時々はトリートメントも使いましょう。リンス・イン・シャンプーは保湿が不十分なので、お勧めしません。
⑤ 体と髪を拭くときも、タオルはこすらず、やさしく包むようにしましょう。
2. 保湿剤の使用について
皮膚の水分保持と保護のために大切です。
① 入浴後すぐ、季節と乾燥の度合いに応じ、乳液(ローション)・クリーム・ワセリンなどを選びます。保湿剤はティッシュがつくくらい、たっぷり厚めにつけましょう。すりこむのではなく、皮膚のしわにそって伸ばす感じにつけましょう。乾燥がひどいようであれば、朝も着替える際につけましょう。
② 保湿剤は処方薬以外でも、ベビー用・敏感肌用がよいでしょう。
3. 外用剤の塗布方法
入浴後、保湿剤の上に、患部のみに厚くつけるのが基本です。
多くの薬剤では入浴後の1回、また薬剤によっては朝の2回の塗布が基本です。頻回に薄くつけるのは推奨されません。
見た目の赤みなどがよくなっても、触ってざらざらと感じるなら、まだ湿疹が残っています。つるつるになるのを目標につけましょう。
4. 紫外線対策
信州は標高が高く、中信地方は晴天の日も多いです。快晴の時に比べ、 曇りでは約60%、雨では約30%の紫外線量になります。春から秋にかけては、曇りでも日中は紫外線対策が欠かせません。つばの広い帽子・日傘・衣服・日焼け止めを利用しましょう。日焼け止めの十分な効果を得るためには、屋外にでる20分ほど前に厚めに塗り、汗をかいたら再び、また2時間をめどに塗り直すことが必要です。
乳幼児期よりのこうしたしっかりしたスキンケアは、アトピー性皮膚炎の発症を防げる可能性があることが報告されています。また食物アレルギー・気管支喘息・アレルギー性鼻炎、といったアレルギー性疾患の発症予防につながる可能性も指摘されています。
一方、紫外線対策は、しわやシミなど光老化、光発がん、また白内障など目の疾患の予防のためにも大切です。
ご家族で、乳児期から老年期まで、生涯、皮膚を大切にしましょう。