診療ノート

#57  3歳児健診 特に斜視弱視について 

 人間の視力は3歳頃までに発達し、6~8歳頃までにほぼ完成しますので、タイミングを逃さず早期に治療を始めないと将来にわたり十分な視力が得られませんので3歳児健診において、弱視や斜視の発見の機会を逃さない事が大切です。自治体により異なりますが、塩尻市はORT(視能訓練士)が主体となり行っています。 

「視力の発達が障害されておきた低視力」を弱視といいます。
弱視では、眼鏡・コンタクトレンズでも十分な視力が出ません。  

 弱視の原因 

①斜視弱視
両眼で物を見る時に片眼は正面を向いていても、もう一方の眼が違う方向を向いてしまっている状態を斜視といいます。斜視がある場合、外れた方の眼が使われないため廃用性となり視力が発達しません。これを斜視弱視といいます。 

②屈折異常弱視
遠視・近視・乱視が両眼とも強いために起こる弱視です。 

③不同視弱視
遠視・乱視が強い方の眼に起こる視力障害です。 

④視性刺激遮断斜視
先天白内障や角膜混濁、眼瞼下垂などにて、片眼を使わない期間があると弱視になります。 

治療については弱視の種類により、治療法が異なります。 

①遮閉具を使用する治療(遮閉法) 
視力良好眼を遮蔽具で隠し、強制的に視力不良眼で物を見させたり、赤えんぴつ使用により視機能の発達を促します。 

② 眼鏡による治療
 プリズム眼鏡など矯正用の眼鏡使用にて、網膜黄斑部中心窩にピントを合わせて視機能の発達を促します。 

③ 視能訓練 
斜視のために両眼視機能や屈折異常、斜視が原因の弱視の方に、視機能回復を目的として行います。 

④ 手術
 斜視弱視では、斜視の角度が大きい場合に手術を行うことがあります。