稲穂
医師となったあと数年して長野県に移り住んだ私が、何度も挑戦するものの「自分の思いを写真に写し込むこと」が苦手な被写体、それが稲穂です。
その年、モノクロフィルムを握りしめ、姨捨へと走りました。首を垂れる稲穂、案山子、はざかけ…と秋真っ盛りの棚田に、やっとその時の思いを重ねることのできた一枚でした。
追伸。2014年春に、デジタルカメラ(富士フィルムX-T1)を購入しました。カメラの性能向上により、見た目通りのイメージをそのままデジタル画像として撮影することができるので、最近はカラーの写真が増えてきました。時代の流れとはいえ、ちょっと機械に負けたようで後ろめたい気がしています。
(園原 和樹)