北へ帰る
新春号の表紙の依頼があった。
「新春」と言えば普通は正月とか初春とか新年の初めに相応しいものがいいと思ったが、この冊子が配付されるのは僕の予想では2月頃になりそうなので手に取った時、余り季節が掛け離れても良くないと思ったので何にしようか迷った。酉年なので少し変わったものにしようと思ってフラミンゴとかペリカンとか旅行中撮ったものから探してみたが、どうも合わない。本当は鶴あたりが新春号には相応しいのだが僕は鶴は撮ってないのでよく似ている白鳥にすることにした。白鳥なら俺に任せておけというくらい沢山ある。白鳥は以前にもお世話になったが今度のは少し違う。古いカメラで撮った。ピントも露出も自動ではないので動く対象には不向きである。予め条件をセットして丁度いいところへ飛んでくるのを撮るのだがなかなかこちらの思うようにはいかない。この日も小雪の舞う寒い日だった。北へ帰る準備をしている一家がやって来て上手い具合に僕の仕掛けた枠に嵌ってくれた。ラッキーでした。シャッターを切った時に手応えがあった。僕にとっては貴重なone shotとなりました。今年も周りの人達になるべく迷惑をかけないように生きられればいいと思っていますのでよろしく頼みます。
(塩原 治男)